柳津あおやま眼科クリニック
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当院からのお知らせ

第72回臨床眼科学会総会

更新日:2018年10月12日

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木曜日は終日、東京で開催されている日本臨床眼科学会総会に参加してきました。

会場は有楽町の東京国際フォーラムと、隣駅ですが、東京駅のKITTEの2箇所に別れていて、聴講したコースがマイコースごと、見事に交互の場所だったので、何度か歩いて往復することに。

眼内レンズの強膜内固定、弱視、硝子体手術、斜視のインストラクションコース、それから、白内障手術関連のランチョンセミナー、イブニンブセミナーに参加。

備忘録になりますが、

眼内レンズは通常は嚢内固定といって、もともと水晶体を包んでいた嚢の中に挿入するのすが、嚢を支える柱状の構造物が弱かったり、様々な理由で嚢を使えない場合に、眼内レンズを眼球内に縫合して固定したりすることがあります。

以前は縫合しての固定が一般的だったのですが、長期的に縫合する糸が劣化して、一定の割合で固定されていた眼内レンズがずれたり、さらには眼球内に落下してしまうため、最近では糸を使わずに眼内レンズの支持部をそのまま眼球の壁(強膜)に固定してしまう方法が急速に主流になりつつあります。

支持部を固定する方法もいろいろな先生方が試行錯誤して、より良い方法を考え出しており、そのインストラクションコースだったのですが、使う道具や細かい手技など、とても参考になりました。

使う頻度は少ないのですが、道具に関しては早速、注文したいと思います。

海外でのデータも報告されていましたが、海外では眼内レンズの縫合、強膜内固定は少なく、前房型レンズが主流です。

理由は操作の簡便さ(見える状態で眼内レンズ固定ができる)なのですが、それでも長期予後が逢着と大差ないことは驚きでした。

日本国内の先生方は、かつて白内障手術の黎明期に前房型のレンズで緑内障などが多発した経験から前房型のレンズを忌避するきらいがありますが、条件によっては見直してよいのではないかと思います。

硝子体手術のインストラクションコースでは、まずは、ILM(内境界膜)剥離の是非に関して。

近年はILMを剥離するのが主流になっては来ていますが、一部の症例では、しないほうが良いかもしれない、という意見も出てきています。

あと、シリコンオイルの取扱に関して。

最終的な手段として使われることが多いので、大学病院勤務時にはよく見ましたが、クリニックで開業していると取り扱うことが少なくなります(一応、準備してありますが)。

入れた場合には、あとで出せるのであれば出すのですが、そのときにできるだけ残らない出し方、実際の画像でそれなりにパンピングして毛様溝から出す、というのが参考になりました。

創閉鎖に関しては、27Gや25Gの小切開での硝子体手術が主流になってきており、自己閉鎖が可能で、手術終了時に創閉鎖のための縫合が必要ないことが多いのですが、強度近視などで強膜が薄い症例も含めて、時折、閉鎖不全で縫合するときがあります。

縫合以外にも、熱焼却での閉鎖のコツ、切開した創の端でバイポーラーで焼却するとそちら方向に組織が収縮して閉鎖を得られやすいこと、モノポーラーで結膜上から焼却する方法も海外ではあるが、再度、結膜を開ける際に癒着ができてしまう欠点があります(かといって、再度開けるような再手術がなければ関係ないかもしれませんが)。

弱視に関しては、当院でも使用しているスポットビジョンスクリーナーは弱視診療で必須となってきている感があります。

そのうえで、どの程度の屈折異常があれば弱視が起こりうるのか、矯正すべき屈折度数の最近の変遷など、勉強になりました。

その他、屈折異常によらない弱視でのOCTの活用、最近のERG機器など、とても参考になりました。

ERGに関して、そう遠くないうちに、最新の機器を導入したいと思います。

斜視のインストラクションコース、斜視訓練の実際、まだまだ勉強不足です。

外傷後の斜視が訓練によって回復するケースもあり、今度、そうしたケースも含めて外来や家庭でルーチンでできる体制つくりを長期的にはしていきたいです。

イブニングセミナーでは、白内障手術の基本、創口の大きさはどうあるべきか、小さすぎると、眼内レンズ挿入でかえって拡張してしまうこと、大小に関係なく、術後屈折は然るべき範囲に落ち着いていく、挿入スピードが早いほうが、創口の拡大が少ない、インジェクター別の使い方のコツなど、勉強になりました。

今度の日曜日も臨床眼科学会、それから、新しく導入する機器の講習会に参加する予定です。

めいいっぱい、新しいこと、吸収して、日々の臨床に活かしていきたいと思います。