角膜インレー(KAMRA)術後の白内障手術

数はレーシックほど多くなくとも、一時期行われた手術に角膜内にピンホール効果がある穴が開いたシートを挿入する角膜inlay(商品名KAMRA)があります。
ピンホール効果で焦点深度が上がり、近くを見やすくする原理で老眼治療として行われた術式ですが、上手く行く方、治療してみたけど効果が薄い方が分かれる術式であったこと、その再現性が難しい(どの位置に挿入するのが良いかも含めて)こともあったことから、今では行われなくなりました(同じ原理を利用してピンホールを印刷してある眼内レンズは存在します)。
10年以上前に行われていた治療で、老眼年齢の方々への治療だったこともあり、そうした方々の白内障手術を行うことも増えてきました。
その場合の白内障手術では角膜インレーを抜去して多焦点眼内レンズを挿入する方法、そのまま利用して単焦点眼内レンズを入れる方法などがあります。
先週の症例ではそのまま利用して単焦点眼内レンズを挿入しました。
多少、視界は遮られるものの手術は問題なく終了、術後経過も良好でした。
難しいのはどちらかというと眼内レンズの計算で、インレーのために角膜実質層の繊維化(および混濁)が進み、そのための局所の平坦化が進んでいるケースがあり、さらに通常はレーシック治療も同時に行なっているので(インレー挿入眼はやや近視になるように矯正)、単にレーシック治療を行っている目とは異なってきます。
軽度の混濁であればステロイド点眼で改善する場合もあるのですが、強くなると、点眼での改善が困難なケースもあります。
そうした場合には、フラップをリフトアップしてインレーの繊維化した部位に合わせてエキシマレーザーを照射するプログラムを組んで混濁を除去する方法があります。
当院で使用しているシュウィンド社のアマリスはそうしたプログラムを組む機能がありますが、すべてのエキシマレーザーでそれができるわけではありませんし、そもそもエキシマレーザーを設置しているクリニックはとても限られます。
ある程度は症例の積み重ねでいろいろなインレーのケースにも対応はできるようにしていますので、お困りの方はご相談ください。