KAMRA inlay後の混濁治療(エキシマレーザーによる)


かつて行われていた老眼手術に角膜にシート状のピンホールレンズを挿入してピンホール効果で近くを見えるようにする角膜内インレー手術(商標名KAMRA)がありました。
ある程度、老眼が矯正できる方法として一時期行われていたのですが、レンズを挿入する位置決めの難しさや術後管理の必要性などもあり、現在は行われなくなっています。
今でもその効果があって老眼鏡をかけずに済む方も多くいらっしゃるのですが、安全性は高いとはいっても異物を角膜内に挿入する手技であるため、異物に対する反応を防ぐために、ステロイドの点眼薬を継続する必要があります。
ただ、すべての方々が定期的な通院治療を継続できるわけでもないので、しばらく通院が途絶えて、見えづらさを自覚されて来院されると、角膜混濁が生じてしまっている場合があります。
ステロイドの点眼薬で改善する方もいらっしゃいますが、一部の方は改善せず、混濁のために見えづらさが残ってしまう場合もあります。
そのような場合にはエキシマレーザーで混濁部位を除去することで、ある程度の改善が可能です。

上記はすでにインレーは抜去されたものの、点眼で改善しない混濁が残った状態。
かなり白濁が強いです。

とりあえずまずは除去しやすいベッド面をエキシマレーザーで切除しました。
外周3.8ミリ、内周1.6ミリのサイズに沿って挿入部位にレーザー照射のセンターをずらし、ドーナツ状にエキシマレーザーを照射した後、さらに中央部位も合わせてレーザーで切除しました。
混濁は軽減しており、視力も一定レベルでの改善はするかと思います。
あとはフラップ面の混濁をどうするか、です。
エキシマレーザーでも現在当院で導入しているドイツのシュウィンド社のアマリス1050RSはオーダーメイドでの照射が可能ですから、こうした部分的な混濁にも対応がしやすいレーザーです。
絶対数は多くはないかもしれませんが、治療できる場所は全国的にも限られているので、お困りの方はご相談ください。
