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ICL治療後の白内障手術 〜将来の課題〜

更新日:2026年09月21日

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ICL手術そのものの日本国内での認可は2010年ですが、それ以前に約20年前の国内導入初期にICL手術を受けられた方の白内障手術を行いました。

初期の頃なのでレンズの穴が開いていない、事前に虹彩切開が必要なタイプです。

素材が柔らかいため、抜去が比較的容易にできると言われていますが、いくつかの課題があります。

ひとつめは小切開でも昨今の白内障手術が約2ミリの創口から手術ができるようになったのに対して、ICLの場合には3ミリ切開する必要があります。

多くの症例ではおおよそ問題無いのですが、従来の白内障手術では小さい切開部位(サイドポート)から、もしくはメインの約2ミリの切開部位から水晶体前面の水晶体嚢(前嚢)を器具を使って円形にカットして中の水晶体を超音波で粉砕除去、レンズ挿入となりますが、約3ミリにひろがることでやや圧が逃げやすくなり、症例によっては前嚢の切開がしづらくなる可能性があります。

その場合には事前にICL抜去後してからメインの3ミリの切開口をナイロン糸で縫合して圧が逃げないようにして前嚢切開をするなどの操作の煩雑さが加わります。

また、ICLの場合は約3ミリ、素材がより柔らかいIPCLの場合にはもう少し小さめの切開口となるものの、ICL治療を受けられた方が白内障手術を受けられる数十年後にその手術を担当する眼科医が果たしてどのレンズが挿入されているのか把握することは困難になり、また、何ミリ切開すればレンズを出すことができるのか、判断が難しくなります(そもそも近視度数でレンズの厚みが変わるので何ミリ切開するのがミニマムなのかは判断が難しい)。

今回の症例では挿入する眼内レンズの位置により高い精度が求められる多焦点眼内レンズであったことや年齢もやや若く硝子体圧が高くなる可能性があったことなどから、事前にレーザーで前嚢および水晶体切開を行ったので、抜去後の操作は比較的容易でした。

サイドポートからICLのレンズを脱臼させ、メインの創口をあけて抜去。

事前に前嚢切開もしてあり、水晶体もレーザーで細かく切開しておいたので水晶体除去は比較的容易。

レンズを挿入して創口を閉鎖をして終了で、通常の白内障手術とほぼ同じくらいの時間で行うことはできました。

今後、懸念される課題としては、約30年前の折りたたみレンズが普及する前は眼内レンズのサイズが約5.5ミリでそれに合わせてメインの創口は約6ミリの切開が必要、その後、折りたたみレンズの普及に伴って現在では2ミリ強の切開が現在では主流なのですが、さらに30年後にはもしかしたら1ミリの切開口で白内障手術ができるようになっているかもしれません。

ただ、そうなったとして昔入れたレンズの抜去にはその素材に合わせたサイズの切開が必要となるので、たとえ将来1ミリの創口で白内障手術ができるようになったとしても、ICLなどのレンズを入れた方は抜去のために将来となってはかなり大きな切開をしないといけない、そのためにその時代のクオリティーの手術を受けることができない、という時代がやってくるかもしれません。

他に懸念される課題として、レンズの抜去の負担をどうするか、ということがあります。

自費診療主体のクリニックは将来の白内障手術に関しては一部のクリニックは自費の白内障手術でしたら対応しているクリニックもあり、その際のICLレンズの抜去に関しては費用はかからないことが多いのですが、自費の白内障手術には費用が両眼で50万円から100万円超となるため、もし次に白内障手術を受けるときに保険診療の範囲内で希望される場合にはその対応ができないということになります。

自費診療のクリニックではICLの抜去は十数万円の費用を設定していることが多く(ホームページには記載はされない)、現在、両眼でいくらから、と入り口が低い価格設定をしていたとしても、そのほとんどの方は将来の抜去の費用までの認識はないかと思われます。

それらの課題にどう対処していくのか、ある程度は治療を行う眼科医も考えていくべき課題かと思います。

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